ト音記号オーディション

先日はピアニストさんのオーディションに、お付き合いをしてきました。

やはり自分自身のオーディションとは、また違うものがありますね。
いつもとは違う意識で歌って、普段とは違う緊張
ピアニストさん達はいつもこんな感じで伴奏してくれてるのかと思うと、本当に感謝です……!ありがたや……

そして今日はこれから、「モーツァルトの旅」のオーディションです。
この作品の審査はもう三度目ですが、皆さん本当にもう、受けて下さってありがとう……!!
嬉しいのと、ドキドキするので私まで緊張しますが
素敵な出会いがあるようにと願うばかりです。

あと自分が受ける普通のオーディションもあります。
オーディションが多いですね、今月は。

……あ?もう私の緊張が結構キテます
治らんな、これは……

ト音記号ここのところ

ここのところですが、お稽古に行ったり、レッスンしたり、オーディションのお付き合いをしたりとか。
コロナの影響でなくなってしまった色々もあるのですが、「モーツァルトの旅」の準備などもありまして、普段より暇ではあるものの、比較的普通に過ごしている私。

相撲が日々の癒し……であるものの、これも千秋楽までいけるのかなぁ。
今日は豊山が頑張ってて嬉しかった

仕事柄、どうしても予定の立てづらいこの頃ではありますが
おかげ様で前回お知らせしたディナーコンサートもほぼ満席状態です
あと1、2卓ほど空きがありますのでご希望の方はお早めにご連絡下さい!

ところで全然関係ないんですが。
写真はこないだ稽古で遅くなった日に、セブンイレブンで買ってきて食べたもの。



いやー、これすっごい
美味しかったんですわ……
ついでにゆで卵も買って投入すると、なお良し

さて
今月の本番は、どれもオーディション系なのでオープンなコンサートではないですが。
どんな形であっても歌える場がある事に感謝して、今月は頑張ろうと思います!キリッ
あと、「モーツァルトの旅」のオーディションもありまして。
多分これが一番緊張するんだろうな?
どの受験者よりもドキドキする自信がある 笑

そんな感じのこの頃です。

ト音記号ディナーコンサートのお知らせ

色々なイベントやコンサートが、中止や延期になってますね。
そんな中でお知らせも大変心苦しいのですが
もう残席がごくわずかになってしまったので、こちらでお知らせさせて頂きます。
本当はもうしばらく後にしようかと思ったんですが……
大変ありがたいことに、前回いらして下さった方のご予約などでかなり埋まってしまったので
このままではこちらでお知らせする前に、満席になってしまうかもしれないので……

改めて。
イタリアンの老舗、リストランテ・サバティーニ青山さんでディナーコンサートをさせて頂きます。
昨年11月にもやらせて頂きましたが、え、もうそんな経つの……

?4月27日(月)
リストランテ・サバティーニ青山
ディナーコンサート
??『華麗なるMonday Opera Night』?(仮)

ソプラノ:中川美和
ピアノ:田仲なつき

1stステージ19:30~20:15
2ndステージ20:45~21:30
(ステージ毎、プログラムは違います)

音楽料お一人様3000円(サービス料10%、消費税別)

この日だけの特別メニュー(8000円)もございますし、それ以外のお好きなメニューもご注文頂けます。
名店の素晴らしいお食事とお酒と共に、オペラの世界へ皆様をご案内致します!

※お店には17時半から入店できます。

プログラムは色々と考え中です。大体決まってますが……まだ秘密です!
普段モーツァルトが中心な私ですが、今回はモーツァルト以外をめいっぱい演奏します!(モーツァルトも少しはするかも……)
お喋りもたくさんするつもりです

聴きごたえのある、華やかな曲をたくさんご用意してお待ちしております!
もちろんピアノの田仲なつきさんのソロもたっぷりご堪能頂けます

残席はごくごく僅かですので、ご希望の方はどうぞ急いでご連絡下さいませ。
(満席の場合は、どうぞ御容赦下さい)
ご連絡はこちらまで!
info@nakagawa-miwa.com

いまの事態の一日も早い終息を。
皆が笑顔で、音楽を、イベントを心から楽しめる日がくるのを心から待っています。
そのために、少しだけ時間が出来た今は、練習?!!

ト音記号青島広志先生トーク&コンサート終演しました!


ご報告が遅くなりましたが、青島広志先生のトーク&コンサート、無事終演しました
昨年のブルーアイランドオペラは「魔笛」。そして今年は「こうもり」。
この2作品から名場面集をお届けのコンサートでした!

てなわけで
夜の女王様を囲んで素敵に1枚。


左から牧野庸子さん、横山美奈さん、末吉朋子さん、栗林朋子さん、私。

私、前回のブルーアイランド「魔笛」の設定を知らなかったのですが、女王に従うDame達は不良少女という役柄だったそうで。
(ブルーアイランド版は、毎回様々なアレンジが加えられて、他では決して観られないオペラになっております……笑)

てなわけで
女王を囲んで
不良な雰囲気で更に1枚です。



コンサート前半は「魔笛」。
大好きなモーツァルトなので、自分の出番以外は舞台袖でずっと聴いてました。
ダポンテ三部作とはまた一味違う、シンプルな優しさ、美しさが凄いなぁ?
死ぬまで進化し続けた作曲家なんだな。

今回私が歌わせて頂いたのはアンサンブルだけでしたが、モーツァルトはアンサンブルならではの至高の美しさがあって。
単純な、子供のような音楽なのに、そこに真の美しさがある。
何度歌っても、楽しくて幸せで美しくて。
昔「魔笛」をやった時より、気付ける事が増えててうれしいな。

ちなみにコンサート後半「こうもり」では、踊りまくりました!
団体芸だったので、お客様に笑って頂けるよう、皆ですごい熱量で練習してましてね。

本番前のリハーサル時、踊りを見た青島先生が笑って下さった時には、内心ガッツポーズでしたよ  笑
ご覧頂いた方には、お分かり頂けた事かと。(観てない人には何のこっちゃでしょうが、ごめん)

自分達でも何であんな一生懸命なのか謎ですが  笑

そんな訳で、プレコンサートは無事終演。
5月がいよいよ本公演!
ブルーアイランド「こうもり」でございます✨

私は「こうもり」にはいないキャラクターです。グリゼット、踊り子のロロ。
本来はオペレッタ「メリーウィドウ」の登場人物なんですが、どんな風に「こうもり」に登場するかは、お楽しみに?





チケットのお申し込みは私まで

素晴らしい方々とご一緒できて、本当に幸せです!!今から楽しみ
グリゼットたちは今度はどんな踊りになるかしらね?
また笑いがとれるといいな 笑

ト音記号「フムフムフム」



明日の12日水曜日はこちらのコンサート。



昨日は最後の稽古でした。
昨年行われたブルーアイランド版オペラが「魔笛」、今年は「こうもり」。
明日のコンサートはこの2作品から名場面を、青島先生の爆笑トークと共にお届けします


魔笛から、5重唱「フムフムフム」。

私はこの重唱、参加しないので聞いてるだけだったんですが。

私、この曲好きでしてねぇ……
途中の「魔法の笛に銀の鈴、素晴らしい宝物」というくだり。

ここの優しい音楽がたまらない。
単純なのに、何てキレイなんだろう。稽古の度に、ここらになると必ず聴き入ってしまう。

昨日、あまりの美しさに聴き入ってしまい。
童子について語る音楽になった所で、更にあまりに美しくなって。
思わず泣きそうになった所で、指揮者が
「ハーイここまで?!さっきこの後はやったから、では次の曲いきましょ?」
おぅ……涙

いやね、稽古ですからね、毎回フルでは歌わないのは分かってるんだけどね……

でも明日はフルで聴けるはず!
楽しみです  笑
何度聴いても美しい……

ちなみにこの場面。



ついモーツァルト好きなので、「魔笛」ばかり語ってますが
「こうもり」からももちろん色々演奏します?!

明日いらっしゃる方はお楽しみに

昼公演は私の手元にはもうなく
夜公演はまだ余裕があります!

もし夜公演がご希望の方いらっしゃいましたら、
info@nakagawa-miwa.com
までご連絡お待ちしております!

ト音記号ブルーアイランド「こうもり」プレコンサートのお知らせ



お知らせが遅くなってましたが、来週の12日、こちらのコンサートに出演させて頂きます!


5月に参加させて頂く、青島広志先生の主催オペラ「ブルーアイランド版こうもり」のプレコンサートになります。
私はブルーアイランドオペラには初参加
アンサンブルで、稽古でめいっぱい勉強させて頂いてます

そして、このプレコンサートの青島先生の爆笑トークがどんなかは、神のみぞ知る……!
既に色々と、普通の「こうもり」ではありません……

こちらのプレコンサート、
2月12日(水)
カワイ表参道コンサートサロンパウゼにて。
13時半開演、19時開演の昼夜2回公演です。
昼公演は残り僅か
夜公演はまだお席に余裕があります。
チケットは3500円になります。

チケットご希望の方は、

info@nakagawa-miwa.com
まで、ご連絡下さいませ!

ト音記号音楽劇「モーツァルトの旅」オーディションのお知らせ

自作音楽劇「モーツァルトの旅」のオーディション情報です。
【主催・東京室内歌劇場/後援・日本モーツァルト協会】

2015年に初演を、2017年に再演が行われた自作の音楽劇「モーツァルトの旅」が今年、再再演される事になりました。
3回目の上演となる今回、ソプラノ役2人のオーディションを行います。

ナンネル役(レジェーロ/リリコ・レジェーロ)、
ソプラノ歌手役(リリコ)を募集致します。
募集要項、作品について等、詳細は下記のオーディションのお知らせをクリックしてご覧下さい。
主催の東京室内歌劇場のホームページにとびます。


音楽劇「モーツァルトの旅」について詳しく知りたい方は、初演時の感想を書いて頂いたブログがあります。(平岡さん、ありがとうございます)
こちらをご参考までに。(ちょっとネタバレにはなりますが、もう3度目の公演なのでネタバレ情報が出てくるのは御容赦下さい)


過去の私のブログにも、色々舞台裏を書いてあります。
こちらも結構ネタバレになりますが、2015年の8月いっぱいかけて「モーツァルトの旅」について色々書いてありますので、ご参考になるかもしれません。

皆様に愛して頂けて、本当に幸せな作品です。初演されるだけで本当にありがたい事なのですが、再演だけでなく、三度目の上演となるなんて。

沢山の音楽劇を書いてきましたが、この作品はどうやら特別なようです。
皆様に愛して頂けた作品、レベルの高い舞台として上演するということで皆様にお返しできたらと思います。

今回も素敵なナンネルとソプラノ歌手と共に、最高に面白い舞台を作り上げたいと思っています。

沢山のソプラノさんがオーディションにいらして下さいますように。
会員の皆様のエントリーをお待ちしております。
どうぞよろしくお願い致します!!

ト音記号音楽劇「パパゲーノの憂鬱」について③


音楽劇について、今回が最後です。

?この「パパゲーノの憂鬱」は、終演後、ラブコメディって言われてました。

演じてた利人さんは、ゴリゴリの恋物語、とも言ってた 笑

私としては、情けなくて一生懸命な人、ていうのをテーマにしてたつもりで。
だから、ラブコメだっていう意識は全くなかったんですよね。
でもそうか、物語の主軸になってるのが「恋」だと、それはラブコメディにジャンル分けされるのか、
そうなのか……

………

……………

……………………ら、ラブコメ書いたと思うと、何か急に照れちゃいますね!笑

そこらについて、友人のフルーティスト、門井のぞみさんがブログに書いてくれました(ありがとうです?!)

?昭和の少女漫画、大好きですが、何か?笑

少女漫画を意識したつもりもなかったんですけどね、趣味って出るのかしら 笑
ただ、この作品しか観てない方が、以前書いた音楽劇「モーツァルトの旅」観たら驚くかなー。結構方向性違うから。
利人さんは、逆に「パパゲーノの憂鬱」読んで、「モーツァルトの旅」との方向性の違いにびっくりしてたっぽいんですが。

どっちが私本来の作風に近いか、私の趣味を知ってる方なら、お分かりですね?笑


ところで、話変わりまして。
この作品のちょっとしたポイントなんですが。(以下、少々ネタバレになります)

演者の本名がキャラクターの名前になります。
そしてこの作品は、単独で行われてはいけない作品で。
演者が出演しているコンサート後半に上演する事、というのが鉄則の作品なんです。
そうすると、作品としても、構成としてもリアリティが出て面白くなるんです。
(まぁその為にMCの時に伏線しいたり、演技の方向性など色々工夫はいるんですけども)

なので今回は、それぞれ演じるキャラクターの名前が
古澤利人→りひと役
中川美和→みわ役
となるわけなんですが。

それで稽古を始めたら

まぁ、利人さんが
?騒ぐ騒ぐ。
?
恥ずかしーキャーとか
何だこれはーうおー恥ずかしー

とか
騒いでて。
どうも、本名でやる事の恥ずかしさがかなりあるらしく。

でも、私は別に恥ずかしくなかったんですよ。
なので、稽古の合間に照れ倒す利人さんを見て、私は

??何やってんのかしら、この人……

こんな表情になっておりました。

冷めた眼差し……


だってですね。
彼は劇中劇で「ドン・ジョヴァンニ」から「お手をどうぞ」をやるんですよ。
これがなかなかどうして、エロい方向性……おっと違う。
大人な方向性で、我々演技してましてね。?

ジョヴァンニとツェルリーナの「お手をどうぞ」

じゃあ、ああいう演技のドン・ジョヴァンニやるのも恥ずかしいの?
ときいたところ

?「え?全然恥ずかしくないけど」
この時「何言ってんだコイツ」みたいな表情してた。

じゃあ本編部分は別にエロくもないんだから、恥ずかしくなんてないじゃないのよ、という話をすると
利人さん、

?だって?恥ずかしいぃぃ?
乙女か。

みたいなやり取りを、終わるまで繰り返しておりました。
しかし役者の面白いところで、利人さんそう言いつつも、演技はしっかりめちゃくちゃ振り切ってやるっていう。
そこはちゃんとやるのね 笑

でもね。

今までどんだけオペラ出て、
どんだけソプラノとラブシーン、
下手するとそれ以上の場面をガンガンやってきたくせに

?せいぜい抱き合うレベルまでの作品の
一体何が恥ずかしいのやら……

サロンコンサート終演後、ピアニストの大下さんと利人さんと3人で、
「何故利人さんはこんなに恥ずかしかったのか」
と、推理したところ、

①本名である
②台本の性格が、本人ととてもよく似ている
③バリトンは、恋が始まるというキャラクターはほとんどやった事がない。
だから不慣れで恥ずかしい。

の、この三点あたりが原因ではないかと。

①はまあ、わかります。本名役ってまずないですからね。

②は、知らんがな、て感じです  笑

③がちょっと面白い。
オペラにおいてはですね、こういった恋をする役どころはほとんどテノールの役どころなんですよね。
バリトンは大概、テノールとソプラノが恋人になってるとこに横恋慕する役が多いんですよね。
でなきゃ「ボエーム」のマルチェッロとムゼッタみたいに、もう恋人関係が完全に出来上がってる役どころ。

だから、こういう「恋の始まり?」みたいなのは経験がなくて、恥ずかしいのではないか。
(故に、ソプラノである私は慣れてて、何とも思わない)

……とまあ、そんな推理をしてたんですけどね。(ものすごくどうでもいい)

面白いから、今度この「パパゲーノの憂鬱」を別のバリトンさんにやってもらってみようか。
その人は同じように恥ずかしがるのかな  笑
それはそれで見てみたい。

まぁ実際のとこ、のぞみさんがブログで書いてくれた通り、甘酸っぱい感じな(笑)作品だからこそ、忘れかけてた何かを思い出して恥ずかしいのかもですね。
甘酸っぱさを書いたつもりもなかったんだけど  笑

しかしそれだけ恥ずかしかったにも関わらず、あれだけのクオリティの演技と歌を、古澤さんありがとうございました……!!
もうどれだけ御礼言っても足らない。

大下さんも、1部の盛モリな曲目から、更に2部も気が抜けない状態で、素晴らしい演奏を本当に本当にありがとうございました!!

そして私は音楽劇はどうだったかと言いますと、あれをラブコメって言ってもらえて、嬉しかったなー。
お客様にコメディと思ってもらえたものが書けたかな、と思うと……
感涙……

古澤さん、大下さん、幸せな初演にしてくれて本当にありがとうございました!!
古澤ファンになられたお客様、彼とは年内にまた自作音楽劇でご一緒しますので、ぜひともいらして下さいね!
またここでお知らせします

そして何より、延期になったこのサロンコンサートを観にいらして下さったお客様、本当にありがとうございました!!

また次のサロンコンサートでは、喋りまくりながら歌いまくるので、ぜひぜひその時お会いできるのを、お待ちしております!
もちろんもちろん、サロンコンサート以外の本番でも、お待ちしております?


ト音記号音楽劇「パパゲーノの憂鬱」について②


クラシックの面白さというのは、同じ楽曲が演奏者によって全く違う解釈が成り立つというところ。

というわけで、今回の音楽劇は
「同じ曲を2回演奏して、音楽の方向性を全く変えて別の曲みたいに演奏するよ」
ていうチャレンジをしました。

これ、ミュージカルでは時々ある手法なんですよね。
同じ歌を劇中で、複数回演奏する。
でも、その時は大概編曲されたりしていて。
だから2回演奏しても、違う雰囲気がある為、お客様に納得してもらいやすい。劇中で成立しやすいんですが。
それを敢えて、オペラの曲で、しかも編曲一切無しでやっちゃおうっていう。

オペラの劇中で、同じ曲を2度歌うって、まぁないです。だから、まるで違う曲のように演奏しなくては、お客様は飽きてしまう。
なので、これはもう、

??利人さん、大下さん、頼んだ……!!
という気持ちでした。

この音楽劇、というものを作るにあたり、ミュージカルでは作れないもの。
ストレートプレイの演劇でも表現できないもの。
且つ、過去のオペラ作品でも作れないもの。そういったものを出せたらなぁ、と思いました。

クラシックならではの、多様な解釈をお見せしたい。
しかしそれには、クラシックの音楽家としての表現力と、そして何より、確かな技術がなければできない。

古澤さんのストレートプレイ(普通の台詞部分)の演技力は、もはや演技の上手いオペラ歌手というレベルではなく、『歌役者』といった方がしっくりくるんですが。
しかし音楽劇においては、やはり最後はオペラ歌手としての表現力の引き出しと、何より技術がなくては、成り立たないものなんです。

そしてピアノの大下さんが全く同じ曲を、まるで別の曲のように完全に音色をコントロールして演奏する。
二人の確実な技術なくては成立しないものでした。

おかげ様で、お客様にも気付いて頂けて。
「同じなのに、違う曲みたいだった」と言って頂けたり、そのガラリと変えた雰囲気を楽しんで頂けたようで……
今回の音楽劇のチャレンジが成功したかな?と思うと嬉しい!
利人さん、大下さん、本当に本当に、ありがとうございました!!

それでですね。
ここからは、その音楽劇というものの作り方についてツッコんだ話になりますので、興味のない方はスルーで  笑

私は音楽劇では、必ず登場人物それぞれにメイン曲を与えてるんですが。
そのメイン曲をどういう風に歌うのか、がキャラクターの造形に深く関わってくるんです。

以前書いた「モーツァルトの旅」という作品では、ドン・バジリオをモデルにした、ダポンテという役を書きましたが。
そのダポンテのメイン曲が、ドン・バジリオのアリアでした。

そのメイン曲をどう歌うか。
例えば、ダ・ポンテを演じる人が、ドン・バジリオのアリアを明るい雰囲気で、テンポも軽やかに設定すれば、キャラクターは本音を隠し通した、悲しさも不条理も全てを飲み込んだ、究極のペシミストになる。
しかし、テンポを許されるギリギリまで遅めにし、怒りを所々で発露して歌えば、キャラクターの造形はかなりシリアスなものとなります。
これは、ドン・バジリオを歌う時に、そもそもそういったものですよね。

で、私の書く音楽劇ではそういった役作りも、演者に任せています。
前述のダ・ポンテというキャラクターも、アリアの歌い方をどちらを選ぶかで、台詞部分のキャラクターの造形も変わっていくわけです。 
ちなみに初演、再演でダ・ポンテ役を演じられた吉田先生は、後者の役作りと歌の表現をなさってました。

ただ、演者の皆さんはそこら辺は無意識にやってる感じですね。
そういった事は多分理屈ではなく、ごく自然に演じながら歌うと、スムーズにいくのでしょう。

さて、今回の「パパゲーノの憂鬱」では、主人公りひとのメイン曲は、パパゲーノのアリア「可愛い恋人か女房が」。
このアリアを2回歌ってもらいました。
りひとがまず、そのアリアを1回目に歌唱するのは、劇中劇「魔笛」ハイライトの中で、パパゲーノ役として歌うわけです。
この時はまず普通に、コミカルに歌えばいい。

しかし2回目に歌う時は、りひとというキャラクターが出す哀しさ、寂しさ、切なさを表現して欲しかったので、「寂しく歌って欲しい」とお願いしました。
そうすると、1回目のコミカルな歌い方とはテンポ感、言葉の入れ方もまるで変わってきます。
そこらの表現の仕方は、演者の古澤さんに全ておまかせ。

私はただ、後は歌手を信じて「寂しい雰囲気に持ってくような台本」を作る事に、全てを注げばいいわけです。
そうすると、古澤さんは歌に合わせた台詞のテンポ感になり、その寂しげに歌うキャラクターを役作りしてくれました。

そここそに、音楽劇の台本と音楽の親和性がある訳です。
台本は音楽を超えてはならないし、音楽が台本を超えてはならない。
どちらも完全に同等の関係でいなくてはならない。
こういう音楽劇の台本を書く時は、音楽をベースにつくりながらも、台本にとことんまでこだわらなければいけないと思ってます。

音楽ありきの台本ではなく、台本ありきの音楽。その位の感覚でいなくてはいけないと思ってます。

何故なら、我々音楽家はそれでも無意識に、結局音楽に比重を置いてしまうから。
どうせほっといても、音楽の方が目立つように書いちゃうんですよ、音楽 家の書く台本は  笑

だから、ストレートプレイの台本作家さんがこういう音楽劇を作る時は、逆に音楽に比重を置いて作った方が良いのかもしれませんね。
多分、無意識に台本の方に比重がいってると思うので。

もう一回だけ続きますー。

ト音記号音楽劇「パパゲーノの憂鬱」について①



サロンコンサート終わって早1週間、2部の音楽劇について書かなきゃね。

サロンコンサートの後半はバリトンの古澤利人さんにゲストにお迎えして、「パパゲーノの憂鬱」という音楽劇を書きました。

前回のブログにも書きましたが、内容などは、もはや古澤さんのブログの方が私より詳しいので  笑
こちらをご覧下さい↓

音楽劇の台本書くのは久しぶりで、色々考えながら書きました。なので思い入れもひとしお。
ブログ、何回かに分けますので、気長にお付き合い下さい。

ちゃんとした音楽劇は「モーツァルトの旅」以来ですから、5年ぶりかな。
今回の「パパゲーノの憂鬱」はコメディで。
そこの難しさがありました。

「笑い」は難しいからあまり書かないですし、書く気もありませんでした。
(人にもよると思うけど、シリアスな作品とコメディ作品書くならば、シリアスな方が楽。人の泣き所って大体同じですが、笑いのポイントは人によって違う。もう本当に難しくて……)

けれど、あるオペラの現場で先生が
「コメディって、面白い動きをして笑わせるって事じゃなくて。一生懸命な人がいて、その行動が結果として笑えるって事なんだ」
とおっしゃってた事があり。

それがずっと心に残ってて。
笑いそのものは、難しくて書けない。
でも、一生懸命な人なら書けるかも……と思い、チャレンジしてみました。

「一生懸命」というのを考えた時、思いついたのはオペラ「魔笛」の登場人物であるパパゲーノ。
彼が恋人を求める一生懸命さが、まさにそれだな、と。



パパゲーノは弱くてずるくて、嘘もつくけど。
それと同時に、こんな純粋で強い人もいないよな、と、この曲を聴く度思うんです。
自分を愛してくれる伴侶が欲しい、それだけを切実に願い、それ以上を本当に望まない人。
だからこそ皆に愛される。

「一生懸命さ」を描くなら、この曲!
と思って、主人公はパパゲーノ……そのものは使えないから。
パパゲーノ“みたいな”人。
でもお客様に、まずパパゲーノがどんな人か説明しなくちゃね。

なので、まず劇中劇として、「魔笛」のミニハイライトを演奏しました。
実はたまたま、「魔笛」のハイライトを既に作っていたので、それを使い回し  笑

常連のお客様にはこのハイライト、ご存知の方もいたでしょう  笑

パパゲーノとピアニストの会話  笑
いやーウケましたね!

で、そのミニハイライト「魔笛」を演奏し終えた所から、音楽劇のストーリーは始まっていきます。

古澤さん演じる「りひと」は、舞台の上なら度胸もあって何でも出来る癖に、ひとたび舞台から降りると、意気地無しで見栄っ張りの臆病者。
余計な事ばかり言って、嘘をついて。まるでパパゲーノ。
幼なじみに告白しようとしても、どうしても勇気がなくて「好きだ」の一言が言えない。
でも、一生懸命勇気を出して気持ちを言おうとしては、失敗の繰り返し……
それでも「りひと」が勇気を振り絞って告白しようとする度、
「ほら、頑張って……」
オーラが客席からムンムンと  笑

で、毎回告白失敗するんですけど  笑
その度に必ず客席から笑いがくる。

あー、一生懸命な人の行動が笑えるって、こういう事なのかぁ、と改めて「笑い」を勉強させられました。
本当にお客様からあたたかい笑いが、何度も何度も出て。
共感させてから、笑わせて。
そして古澤さんの真骨頂、寂しげな雰囲気にスっと持っていって、寂しく歌う。

笑いっていうのは、寂しさと表裏一体なんだなぁ、と改めて痛感しました。

この作品、結末はもちろんハッピーエンド。
本当に他愛のない内容の作品ですが、こういう一生懸命さって、誰しも経験があるし、正直、自分的にはなかなか良い台本書けたかな?、と思ってます
また、この「パパゲーノの憂鬱」は初めてチャレンジした事もあって。
同じ曲を、劇中で全く別の方向性で二度演奏する、という事でした。

まだ長くなるので、次の記事で!